
施工例
コンパクトなのにゆとりが生まれた2列型キッチン(軽井沢町)
20年前に東京と軽井沢との2拠点での暮らしを始めたSさん。
もともとパンやお菓子作りが好きで業務用のキッチンを自宅に置いて使っていましたが、20年の間に家族もモノも増え、キッチンも手狭になってきました。
もともと細々としたものの収納が難しい業務用キッチン、次第にいろいろなものがキッチンの外にあふれるようになってきたため、20年ぶりにキッチンをリフォームすることにしました。
<リフォーム前のキッチンの様子>
元々対面型キッチンだったが、腰壁で囲まれているため、家族のいるダイニングとは切り離されている印象でした。
業務用キッチンは細々としたものの収納が難しく、次第にものが溢れてきてしまっていました。
壁側に大きな業務用コンロとオーブン。反面、作業スペースは非常に限られていました。
置き場に悩んだ電子レンジとトースターは、キッチンからアクセスできない出窓に。
実際現場に伺ってみると、廊下の通り端にキッチン室があるという間取り上、通路幅を考えるとキッチンの間口は180cmしかとれませんでした。
ただ、奥行きは広かったので、対面式のキッチンをダイニングテーブルと組み合わせて考え、作業スペースを広く取るのはもちろん、家族が集まれるゆとりのある空間が生まれるようにプランを考えていきました。
コンパクトなキッチンでも、工夫次第でゆとりのある空間に
そんなわけで、ペニンシュラ(対面式の半島型)キッチンの天板の奥行きはなんと120cmの広さに。
もともと対面側にあったシンクは壁側へ、代わりにコンロをIHに変えて、対面側に持ってきました。シンクをみんなで囲んでも楽しくないですもんね。カウンター側にもゆったり座れますし、みんなでお料理をするときにも広々です。
レイアウトの次に解決しなければならなかったのが、収納力のアップ。
といっても、棚や引き出しをたくさん作れば良いわけではありません。
まず大切なのは、どのお家にもたくさんある、家電類の置き場所を決めてあげること。炊飯器、オーブンレンジ、トースター、コーヒーメーカー、ポットなどなどです。
特に今回のようなコンパクトなオープンキッチンの場合、あとから家電を置こうとすると、せっかく作った貴重な作業スペースがなくなってしまったり、ダイニングからも雑多な家電が見えたりしがちなので、キッチンプランの最初の段階でそれぞれの居場所を考えておかないといけません。
特にオーブンレンジや電子レンジは比較的大きい機器なので、どこに置くか決めておくことはとても重要です。
Sさんのお家でも置き場所に悩み、当初はキッチンからアクセスできない出窓に置かれていましたが、同じく使いづらさに悩んでいた階段下の収納棚に手を入れ、ビルトインすることで解決!
この他の炊飯器やゴミ箱なども、それぞれキッチンのキャビネットの中に収納できるようにしたため、ワークトップの上はスッキリ広々。コーヒーメーカーだけが片隅にちょこんと置かれています。
それぞれの家電にも、きちんと居場所を決めてあげることって大事です。
元々あった業務用キッチンはワークトップの下がオープンだったため、いたずらっ子のワンちゃんがキッチンに入れないように柵を設けていました。
そこで、新しいキッチンではオープン収納をなくし、全て引き出しに収まるようにしました。
コンパクトながらMieleの食洗機をビルトインして、日々の洗い物に充てていた時間は家族との時間に。
ゴミ箱もシンク下の大きな引き出しの中に収納されているため、ワンちゃんのイタズラからも安心。おかげでキッチンの入り口にあった柵も撤去することができ、今ではお料理中もずっと一緒にいてくれるようになったそうです。
食材もゴミ箱もすべて収納できたことで、家族とワンちゃんが安心してキッチン周りで過ごせるように。
木のワークトップは汚れやすいんじゃないかと心配されていたSさん。使い込まれた天板を見て、きめ細かく堅いヤマザクラなら安心、と今では風合いの変化を楽しんでいます。
キッチンの天板が木だとまるで家具のようで、ダイニングからの景色もホッとできるし、家事に立つのも気持ちがいいですね。とSさん。
オリジナルの絵付けタイルで、唯一無二のキッチンに
タイルや磁器のお皿の絵付けを趣味にされていたSさん。20年ぶりのキッチンリフォームにあたって、自作のタイルを張りたいという夢をお持ちでした。そこで、IHの側壁にはなんと全50枚で一つの大きな絵柄になる大作に挑戦。
レンジフードが重なってしまう位置を綿密に避けながら制作した絵柄をタイルに一枚一枚描き上げ、数ヶ月かかってついに渾身の作品が張り上がりました。そうして他に例のない、Sさんオリジナルのキッチンがついに出来上がりました。
オランダ・デルフト焼きの自作タイル、圧巻の美しさです!
シンク側にはシンプルでチャーミングなタイルを制作。こちらも品があってかわいい!
吊り戸棚は普段の姿勢で使いやすい高さが大切!
以前の吊り戸棚は隣にレンジフードがあったこともあって、幅の狭いものでしたが、新しいキッチンではレンジフードがなくなったことで、180cm幅いっぱいの吊り戸棚にすることができました。
以前は頭のはるか上から天井まで、という、普通の姿勢では手も目も届かない吊り戸棚でしたが、今回は高さをアイレベルまで下げたことで、見渡しやすく取り出しやすい棚になりました。
毎日よく使う食器やカップなどが思いのほかたくさん入りますし、フラップ扉なので、開けたまま作業しても邪魔になりません。普段使いのお皿のサイズに合わせ、深すぎない絶妙な奥行きにしたことで、収納しすぎて奥のものが取りづらい、ということがないように配慮しています。
ほんのり透けるレトロなクラフトガラスの入った扉は、内部が少しぼやけて、あまりうるさく見えないのも特徴です。
目も手も届きやすい高さの収納は普段使いの食器やカップなどをしまうのに最適。フラップ扉なので、開けたままの作業でも邪魔にならない。
キッチンと同じヤマザクラの木で作られた、ママルオリジナルのナイフブロック。
施工地 |
長野県軽井沢町 |
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キッチンデザイン | 浦野伸也(スタジオママル) |
製作 |
川嶋弘嗣(家具工房 川嶋) |
材種・仕上げ |
キッチン本体:ヤマザクラ、エゴマ油+蜜蝋仕上げ ハンドル:ステンレス |
サイズ |
ペニンシュラ側:W1800 x D1200 x H850 壁面側:W1800 x D650 x H850 吊り戸棚:W1800 x D330 x H400 階段下収納:W770 x D600 x H850 |
機器類 |
シンク:ママルオリジナル 水栓:TOTO IHクッカー:Panasonic 食洗機:Miele レンジフード:Ariafina |