自然を求めて、ご家族で都会から信州に移り住んで来られる方が、年々増えてきているように感じます。
蓼科高原に新しい住まいを建てられたOさん一家もそんなご家族。
木の肌触りや雰囲気が大好き、というOさん。自然素材にとことんこだわった家づくりがしたいとずっと思っていました。
ですから、「システムキッチンは最初から考えられなかった」とのこと。
そんなOさん、ずいぶん迷われる方も多い中で、キッチンの天板は全て木でつくりたい!と即断。
また、リビングとキッチンに境がなく、一体になるようにと、奥まで見渡せる広々とした木のキッチンをイメージされていました。
そうして出来上がったのがこちらのキッチンです。
キッチンの天板と本体はナラの木(リビング側の一部はスギ)。
その丈夫さから、一昔前の小学校の机やイスの多くはこのナラで作られていました。
欧米ではオークと呼ばれ、渋みのあるその独特の香りから、ウイスキーの樽や燻製のチップなんかにも使われていますよね。
対面式のII型キッチンで、ごくシンプルなレイアウトですが、広々として垣根がないので、誰もがリビングからも入りやすく、家族や仲間たちと一緒に立つのが楽しそうです。
メインのキッチンはいたってシンプル。食洗機も、特別凝った収納もありません。
この山の家では、お料理や家事、すべての営みをゆったり楽しみたいという、Oさんのスローな暮らしへの思いがこめられています。
カップボードの吊戸棚にはチェッカーガラス。どことなくレトロで優しい雰囲気ですが、甘さはありません。
この落ち着いた風合いは、ナラ独特のものといえるでしょう。
吊戸棚の下に、小物の家電類が置けるよう、スペースとコンセントを用意しています。
シンプルなのに、どことなく和であったり、ホッとする懐かしさが感じられる、これからの日本の家です。
この天板で、毎日傷をつけたり、水をこぼしたり拭いたり。そんな風に家族との時間を刻みながら、段々と味わいが増していきます。
10年後にはこのキッチン、どんな雰囲気をたたえているでしょうか。
ほんものの自然素材の魅力は、10年後にわかります。楽しみにしていてくださいね、Oさん。
みんなで立つとやっぱり楽しい、そんな木のオーダーキッチンです。
【所在地】長野県茅野市
【家族構成】夫婦+子ども1人
【レイアウト】II型(ペニンシュラ型+I型)