水も火も使う、油だってこぼすキッチンの天板。それが木だなんて、どうなっちゃうんだろう?
そんな風に思われている方、きっと多いですよね。
そこで先日、実際にママルの木のキッチンをお使いのお客さまのお家に伺った際の様子をご覧いただきたいと思います。
ちょっと写真が暗いんですがお許しを…。
こちらは「立つだけで元気になるキッチン」でご紹介したYさんのお家。
以前伺ったのは、キッチンを使い始めて3ヶ月ほど経った頃でしたが、その頃からシンクのすぐ横あたりの天板はもうすでにつやつやと輝き始めていました。
そして今回、2年ほど経ったキッチンと再会してびっくり!
どうです、この光沢!
照明や窓からのあかりが完全に映り込んでいます。
ヤマザクラの材もほんのり赤く日に焼けて、木目が美しく輝いていました。
これは専門の業者が見ても、あぁ、クリアのニスか何か塗ってますね、と絶対に答えるだろうレベルです。私自身も最初、目を疑いましたからね〜。
さぞや一生懸命お手入れをされてるのでは?と伺うと、
「いえ、使って普通に拭いてるだけです。(お手入れ用の)蜜ロウもあんまり塗ってないです。」
とYさん。
思えば、最初にツヤが出てきたのはシンクのすぐ横でした。つまり、水をこぼしては拭き、こぼしては拭き、と毎日ごく普通にキッチンを使うことが、一番の手入れになるということだったんですね。
木の天板だからといって神経質になりすぎず、どんどんこぼしては拭き取る。それだけでこんなに美しく育っていくんだと、あらためて安心、納得しました。
ママルの木のキッチンに塗っているのは天然のエゴマを絞った油とミツバチの巣から採れる蜜ロウのみ。エゴマ油は木に染み込んだ後、1年ほどゆっくりと時間をかけて木の中で固まっていきますので、木の表面が固く締まってきます。実際、完成したてのキッチンよりも、1年ほど経ってからの方がちょっとした水のあとなどもつきにくくなっていきます。
それに、全体にすでに油を塗ってあるわけですから、あとから油などをこぼしても全くシミやあとはつかないんですよね。
そしてキッチンの天板として使うのに欠かせないのが蜜ロウ。蜜ロウは天然のロウ分(ワックス)ですから、水やお醤油、ワインなどを玉のように弾きます。ですから木に染み込むこともなく、拭き取ればOK。
よく家具などで「オイル仕上げ」ってありますよね。オイルが塗ってあるというと、なんとなく水に強そうなイメージがありますが、実はオイルだけだと水は弾かず、染み込んであとになってしまうんです。
ですので、特に水も油も使うキッチンでは、オイルとともに水を弾くロウ分が塗られていることがすごく大切です。
そしてエゴマ油と蜜ロウはどちらも食品や化粧品に使われるほど安全なもの。キッチンの天板ですから、食べられるもので出来ているというのが何とも安心です。
ただし、こうして気楽に扱ってもどんどん美しく、しかも丈夫になっていくためには無垢材で作られていることが条件です。そもそも合板などで作られた天板は表面の強度がないので、蜜ロウやオイルだけで仕上げることはできません。
さて、シンク側の天板に出遅れたガスコンロ側の天板も、2年経ってがんばっています。
シンク側ほどではありませんが、だんだんとツヤが出てきましたね。
繰り返しますが、これはウレタンやニスなどで人工的に出したツヤではありません。毎日こぼして拭いてを繰り返したからこそ育ってきた、自然のツヤなんです。
言わば、大切に使ってくれた方へのご褒美ですね(^^) 使い込んだ革の道具なんかにもよく似ています。これから10年、20年とさらにツヤを増していくことでしょう。楽しみです。
ステンレスや人工大理石など、キッチンの天板にはいろんな素材が使われますが、新品の時よりも美しく丈夫になっていく、しかも気楽につきあえる、という素材は木を除いてなかなか無いんじゃないかな、と思います。
ということで、キッチンの天板に木を使うことは心配ではなく、むしろ気楽なんだということがお伝えできたら嬉しいです。
キッチンはいそがしい中でも毎日立つところですから、キズやお手入れについてやたらと気にすることなく、皆んなもっと楽をしたらいいと思うんです。本物の木のおおらかさが、たくさんのいそがしい人たちを助けてくれるんじゃないかなと思います。
木は人類と仲良くやっていける、本当に素敵な素材であり存在だと思います♪